「内定が出なくても、特定活動というビザ(在留資格)で就活を続けられるんですよね?」
この質問を、専門学校の留学生からよく受けます。
答えは「半分正解で、半分間違い」です。
制度としては確かに存在しますが、実際に使えるかどうかは、学校の協力があって初めて成り立ちます。
そして、この「学校の協力」が、思っているほど当てにできない場合があります。
この記事では、特定活動(就職活動)ビザの制度内容と、なぜ学校が推薦状の発行に消極的になりがちなのかを、構造から説明します。
特定活動(就職活動)とは何か
正式には「特定活動(継続就職活動)」と呼ばれる在留資格です。
卒業後も内定が出ていない留学生が、日本に滞在しながら就職活動を続けるための制度で、専門学校(専修学校専門課程)を修了した「専門士」も対象に含まれます。
制度の骨子は以下の通りです。
- 在留期間:当初6ヶ月。1回の更新が認められ、最長で1年間、就職活動を継続できる
- 必須条件:卒業した学校からの推薦状、在学中の出席率・成績、就職活動の実績(エントリー数・面接履歴など)、生活費の裏付けなどが審査される
- アルバイト:資格外活動許可を取れば週28時間まで可能。ただし超過すると、更新不可はもちろん、後の技人国ビザ申請にも悪影響が出ることがある
- 内定後:内定が決まったら、そのまま就労はできない。「内定待機のための特定活動」へ改めて変更申請が必要で、内定後1年以内かつ卒業後1年6ヶ月以内に入社することが条件
つまり、特定活動は「就職活動を続けるための時間を買う」制度であり、就職を保証するものではないですし、学校の協力なしに使える制度でもありません。
なぜ学校は推薦状の発行に消極的なのか
結論から言うと、これは学校の善意や熱意の問題ではなく、制度の構造上そうなりやすいという話です。
推薦状の発行には「面談」と「事務コスト」が伴う
推薦状は形式的な一枚の紙ではありません。
学校側は面談を行い、これまでの就職活動の実績や今後の計画を確認したうえで発行の可否を判断します。
更新の際も同様の手続きが必要になることが多く、卒業後の学生一人ひとりに対して、学校は継続的な工数を割くことになります。
在校生の対応で手一杯の時期に、卒業生のフォローまで手厚くできる学校ばかりではありません。
「卒業後も就職が決まっていない学生」は、学校にとって扱いにくい存在になりがち
専門学校にとって就職率は、学校の実績・広報材料として重要な数字です。
卒業時点で内定が出ていない学生が多いことは、直接的には学校の責任ではなくても、対外的な印象に関わります。
結果として、卒業後まで手厚く伴走する体制よりも、卒業までにできる限り就職を決めさせる方向にリソースが割かれやすくなります。
「就職活動を辞めた場合の帰国指導」まで学校側の役割に含まれる
特定活動での在留期間中に就職が決まらなかった場合や、学生自身が就職活動を取りやめる場合、学校側には適切な帰国指導を行うことが求められます。
つまり学校は推薦状を出した後も、その学生の状況を追い続ける責任を負うことになります。
これも、学校が推薦状の発行に慎重にならざるを得ない一因です。
だからこそ、「特定活動に頼る」を前提にしてはいけない
ここまで読むと分かる通り、特定活動は「いざとなったら使えるセーフティネット」ではなく、「使えるかどうかが学校次第という、不確実性の高い制度」です。
学校を責めても状況は変わりません。
前提が変わらない以上、対応できるのは学生自身の動き方だけです。
だからこそ、記事②でお伝えした「12月〜1月に卒業見込証明書で在留資格変更許可申請」というスケジュールを、最初から狙うことが重要になります。
特定活動は「間に合わなかったときの延命策」であって、「最初から使うつもりの計画」にすべきものではありません。
まとめ
特定活動(就職活動)ビザは、確かに存在する制度です。しかし、推薦状という学校の協力が前提であり、その協力は学校側の事情によって左右されます。
「制度があるから大丈夫」ではなく、「制度に頼らずに済むスケジュールで動く」ことが、結局のところ一番確実な進路の守り方です。
※本記事の在留資格・特定活動に関する情報は、出入国在留管理庁の公表資料および行政書士業務の実務経験に基づいています。個別の状況によって扱いが異なる場合がありますので、具体的な手続きについては専門家にご相談ください。
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