遺言を遺すべき人はどんな人?
遺言を書くべき人はどんな人だと想像しますか?
財産が多額にある人や家庭関係がギスギスしている人などをイメージする方が多いかもしれません。
確かに、ドラマなどを見ているとそうしたケースばかりが出てきます。
特殊な事情があるからこそ遺言を書かなくてはならないと思いがちですが、実はそうではありません。
一般的な資産額で家族仲が良い人でも遺言を遺しておいた方が良いのです!
それはどういった理由なのでしょうか?
解説をしていきたいと思います。
家庭環境が良ければ遺言を遺さなくても問題ない?
先ず、今現在の家族仲が良い理由がどこにあるのかを考えてみましょう。
家族の大黒柱である方がしっかりと家庭を支えているからではないでしょうか?
その方が亡くなってしまったらどうなるでしょうか?
今まで支えてくれていた大きな柱が無くなると、問題が色々と生じてくる可能性があったりします。
特にお金の部分では、誰がどのように主張してくるか分かりません。
お金は人の心を変えてしまう事もあるからです。
「私がお父さんを一番サポートしてきた!」と、主張してくる子どもがいるかもしれません。
「これからお金が必要だから!」と意見を述べてくる子どももいるかもしれません。
法定相続分に則って財産分与してもらえれば良いと考えて遺言を残さず、結果的に遺族が揉めて家庭が崩壊していく事もあったりします。
相続が争族となる事は珍しくないのです。
そんな姿は想像したくもないでしょうし、死後に家族が崩壊していったら死んでも死にきれないはずです。
自分の死後も家族が仲良く過ごしてもらいたければ、しっかりと遺言を遺し、自分の意志として資産をどのように分けるべきかを書き記しておく必要があります。
若い頃に人生設計をどのようにすべきかと考えた人もいると思いますが、遺言は人生最後の設計書と言えなくもありません。
遺された家族の為にも、大黒柱としての最後の仕事と言えるはずです。
資産額が少ないので遺言を遺さなくても問題ない?
遺言は資産が多額にある人が書くべきものじゃないの?
我が家にはそれほど資産はないよ!とお考えの人もいるかもしれません。
実は、資産の額が少なくても揉める事は多いです。
それほど資産はないと思っていても、遺族からしたら資産がこんなにある!と感じるケースもあるからです。
実際に、資産額が少なくても揉めている事はデータを見ても明らかです。
遺産価額 | 件数(割合) |
1000万円以下 | 2017(34.7%) |
5000万円以下 | 2492(42.9%) |
1億円以下 | 655(11.3%) |
5億円以下 | 369(6.4%) |
5億円を超える | 37(0.6%) |
算定不能 ・ 不詳 | 237(4.1%) |
総数 | 5807(100%) |
この表は統計局ホームページ内にある「遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(「分割をしない」を除く)遺産の内容別遺産の価額別 全家庭裁判所」から抜粋したものです。
「資産額が多い方が揉める、資産額が少ない方が揉めない」という考えが当てはまらない事が分かってもらえたと思います。
資産額の大小ではなく、遺された家族の幸せを願うのならば、遺言を遺しておく事をお勧めします。
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遺言は正しく残さないと無効となる!
遺言を遺しておこうと思い付くと、ドラマのように自書して、死後に家族の誰かが見つけてくれるところに置いておこうと考えるかもしれません。
この方法でも良いのですが、法的に正しく書かないと遺言として認められません。
また、遺族が見つけなければ意味を為さないですし、見つけた遺族も正しい手続きに沿って対処しないと、やはり無効となってしまいます。
正しく遺言を遺すにはどうしたらよいのでしょうか?
遺言を遺すには大きく2つの選択肢があります。
その2つとは、自筆証書遺言と公正証書遺言です。
ドラマに出てくるような遺言は自筆証書遺言と呼ばれています。
自筆証書遺言は日付、内容を自筆して、押印する事が最低限の必須要件となります。
全て自筆しなければならないので大変ですし、それが本人が書いたものと後々証明させるのにも苦労する事があります。
そして、死後に誰かが遺言を見つけてくれるかどうかにも疑問が残ります。
また、自筆証書遺言は遺族が見つけてくれた後に、その内容に沿って勝手に遺産分割すれば良い訳ではありません。
勝手に開封する事自体も認められていません。
では、どうすれば良いかと言えば、先ず初めに家庭裁判所にて検認してもらう必要があるのです。
家庭裁判所にて開封を行い、遺言の確認が行われるのです。
こうした流れを踏むので、遺族の為に遺した遺言なのに、遺族が苦労する事も少なくありません。
自分への遺産分割が少ないと感じた遺族の中には、筆跡が違うと難癖を付けてくる事例もあったりします。
自筆証書遺言はこっそりと書けるという利点がある一方で、遺産分割がスムーズに実行されるかどうか分からないという難点があるのです。
こうした難点を解消させる為に、公正証書遺言という制度を活用する方法があります。
遺言を遺す方のほとんどが公正証書遺言を活用しています。
公正証書遺言の最終作成は公証人と2人以上の証人の前で作成が行われます。
予め用意した文章を公証人が読み上げ、それに同意する形となるので、自筆で文章を書く手間が省けます。
そして、公証人や証人の前で押印する事になるので、それが間違いなく依頼者が作成したものと認められるのです。
原本は公証役場で預けてくれるので紛失の心配はなく、自筆証書遺言と違い家庭裁判所での検認も不要なので、スムーズに遺産分割へと進む事ができるのです。
公証役場では亡くなった事を把握したり、死後に遺言の存在を相続人に連絡してくれるシステムにはなっていないので、代表相続人や行政書士などの第三者に遺言の存在を知らせておく必要があります。
誰に遺言の内容に沿って手続きをしてもらうかの「遺言執行者」を遺言の中で指名する事もできます。
遺言執行員は複数人指名しても問題はなく、通常は代表相続人や行政書士などにお願いする事が多いです。
それなので、公正証書遺言の謄本を本人、正本を遺言執行者が預かると言う流れにしておけば良いと思います。
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遺言を書くのは手段であり、目的は遺言の内容をスムーズに実行して幸せな家庭が続く事にあるはず!
遺言を書くか書かないかで悩む方が多いですが、書かない状態でいると、その悩みはいつまでも消える事はありません。
亡くなる直前になって、「遺言を書いておけば良かった・・・」と後悔しないように、相続に対しての悩みがあるのなら遺言を遺しておいた方が良いでしょう。
実際に遺言を書いた事により、達成感や爽快感が得られたと感想を述べる人が多いです。
遺言を書くにあたり、これまでの人生を振り返ったり、財産整理をする良いきっかけになるからだと思います。
ですが、遺言は書く事が目的でなく、亡くなった後に遺言通りに相続が行われて、遺された家族が満足良く生活を続けてくれる事にあります。
遺言の目的はその内容に沿って実行される事であり、遺書を残す事はその手段に過ぎません。
その為、法的に整っていない遺言を遺したり、スムーズに実行されないような遺言を書くべきではありません。
そうした点を考慮して、多くの方が公正証書遺言を選択する事になります。
人生をしっかりと振り返り、そして遺された家族の幸せを願って遺言を書いてみませんか?
行政書士として、そのお手伝いをさせていただきます。
遺言を書きたいので相談したいという方はこちらから! ⇒ 大阪市北区の行政書士Office KAIに問い合わせてみる!
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