アメリカで市民権を取った元日本人の方が「日本に戻って暮らしたい」と考えたとき、最初の壁になるのが「アメリカにいながら、どうやって在留資格を申請するのか」です。
実は、ご本人が日本に来なくても、在留資格の申請は進められます。
この記事では、元日本人の方が海外から在留資格を申請する手順と、日本の戸籍・除籍謄本の取り寄せ方を解説します。
この記事の結論
元日本人は、アメリカにいながら在留資格の申請を進められます
- 元日本人の多くは、在留資格「日本人の配偶者等」で日本に戻れます(仕事の制限なし)
- 申請は、日本に住む親族か申請取次の届出をした行政書士が、本人に代わって行えます
- 在留資格認定証明書はメールで受け取れ、そのまま現地の日本大使館・領事館でビザ申請ができます
- つまずきやすいのは、国籍喪失届の未提出と身元保証人です
元日本人の在留資格は何になる?
元日本人ご本人は、生まれたときに親が日本国籍だった「日本人の子として出生した者」にあたるため、多くの場合、在留資格「日本人の配偶者等」で日本に住むことができます。
仕事の種類に制限がなく、1年以上日本に住めば永住の申請も視野に入ります。
お子さんや配偶者など、ご家族の在留資格は立場によって変わります。
詳しくは元日本人・日系人の方の在留資格 早見表をご覧ください。
海外からの申請は「在留資格認定証明書」から
海外に住む外国人が日本に住む目的で入国するときは、まず日本の出入国在留管理局で在留資格認定証明書(COE:Certificate of Eligibility)の交付を受けます。
この証明書を現地の日本大使館・領事館で提示すると、ビザ(査証)が発給され、日本の空港などで中長期生活するための上陸審査を受けられることになります。
本人が日本に来なくても申請できる
在留資格認定証明書の申請は、本人に代わって次の人が行えます。
| 申請できる人 | ポイント |
|---|---|
| 日本に住む親族(代理人) | 兄弟姉妹やいとこなど、日本に住む親族が代理人として申請できます |
| 申請取次の届出をした行政書士・弁護士 | 日本に頼める親族がいない場合や、平日に入管へ行けない場合でも、本人からの依頼で申請できます |
| 本人 | 本人が日本に滞在している場合のみ (観光などで来日中に申請することも可能だが、短期滞在からの変更は現実的には困難) |
申請から日本に住むまでの流れ
- 1. 在留資格を確認早見表で、ご本人と家族が取得できる在留資格を確認
- 2. 国籍喪失届の確認戸籍に国籍喪失が記載されているか確認。未提出なら先に届出
- 3. 書類を集める日本の戸籍・身元保証書と、アメリカの出生証明書・帰化証明書など
- 4. 入管へ申請日本の親族か行政書士が申請。本人の来日は不要
- 5. 審査通常1〜3か月程度
- 6. 証明書をメールで受け取る電子交付を選べば、本メールが届く
- 7. ビザ申請現地の日本大使館・領事館でメールを提示して申請
- 8. 日本に入国証明書の有効期間(3か月)内に入国。空港で在留カードを受け取り、14日以内に市町村役場へ住居地の届出
必要な書類(元日本人ご本人の場合)
元日本人ご本人が「日本人の実子」として申請する場合の主な書類です。
個別の事情によって追加書類を求められることがあります。
| 日本で用意する書類 | アメリカで用意する書類 |
|---|---|
| ・在留資格認定証明書交付申請書、写真 ・親の戸籍謄本(または除籍謄本) ・身元保証書 ・身元保証人の世帯全員の住民票 ・日本での生活費を支える人の課税証明書 ・納税証明書(または預金残高の資料など) |
・出生証明書(Birth Certificate)と日本語訳 ・帰化証明書(Certificate of Naturalization)の写しと日本語訳 ・パスポートの写し ・年金や預金など、日本での生活費をまかなえることを示す資料 |
日本で発行される証明書は、発行から3か月以内のものが必要です。
外国語の書類には日本語訳を付けます。
戸籍・除籍謄本はどうやって取り寄せる?
元日本人の方の申請では、ご自身が日本人の子として生まれたことを、親の戸籍(除籍)謄本で証明します。
親が亡くなっていたり、本籍地が変わっていたりすると、古い除籍謄本や改製原戸籍までさかのぼる必要があります。
| 取り寄せ方法 | ポイント |
|---|---|
| 本籍地の市区町村に郵送で請求 | 本人が海外から請求できます。 手数料の支払い方法や必要書類は市区町村によって異なるため、事前に本籍地の役所に確認が必要です |
| 日本に住む親族に取ってもらう | 本人の子や親(直系の親族)なら、2024年3月から始まった「広域交付」で、最寄りの市区町村の窓口でまとめて取得できます(本人が窓口に行く必要あり。郵送・代理は不可) |
| 行政書士に依頼する | 在留資格の申請を依頼する場合、行政書士が業務に必要な範囲で戸籍・除籍謄本を取り寄せられます。 本籍地が複数にまたがる場合も、まとめて対応できます |
つまずきやすい2つのポイント
① 国籍喪失届を出していない
アメリカの市民権を自分の意思で取得した時点で、日本国籍は自動的に失われています。
ただし、戸籍に反映させるには「国籍喪失届」が必要です。
国籍喪失届の提出期限は、国籍を失ったことを知った日から3か月以内です。
届出をしていないと、戸籍上はまだ日本人のように記載されたままになり、在留資格の申請で説明が必要になることがあります。
国籍喪失届は在米の日本大使館・総領事館か、本籍地の市区町村に提出できます。
3か月以上経過していたとしても、在留資格の申請より先にまず済ませておきましょう。
なお、日本国籍を失ったことを知りながら日本のパスポートを使うと、処罰の対象になります。
古い日本のパスポートでの入国はできません。
② 身元保証人が見つからない
入管の案内では、日本人の実子の場合、身元保証人は日本に住む日本人で通常は親がなります。
しかし、元日本人の方はご両親がすでに亡くなっていることも多く、ここで手が止まってしまうケースが少なくありません。
その場合は、日本に住む兄弟姉妹などの親族に依頼するのが一般的です。
身元保証人の責任は法的な義務ではなく、道義的なものとされています。
日本人や永住者であれば、友人や知人でも可能です。
誰に頼めるかは事情によって変わるため、早めにご相談ください。
よくあるご質問
Q. 日本に親族が一人もいなくても申請できますか?
申請そのものは、申請取次の届出をした行政書士に依頼すれば、日本に親族がいなくても行えます。ただし、身元保証人を誰にお願いするかは個別に検討が必要です。状況をお聞きしたうえで、進め方をご提案します。Q. 一度日本に行かないといけませんか?
在留資格認定証明書の申請からビザの発給まで、アメリカにいながら進められます。日本に来るのは、証明書とビザが揃って入国するときです。Q. 審査にはどのくらいかかりますか?
通常1〜3か月程度ですが、時期や書類の状況によって前後します。証明書の有効期間は3か月なので、引っ越しの準備と合わせてスケジュールを組みましょう。Q. 費用はかかりますか?
在留資格認定証明書の申請に入管への手数料はかかりません。ビザの申請手数料、戸籍や証明書の取得費、翻訳費などは別途必要です。Q. 配偶者や子どもも一緒に申請できますか?
ご家族の在留資格は、立場によって「定住者」などになります。家族全員分の申請を、まとめて同時に進めるのが一般的です。
まとめ
元日本人の方は、アメリカにいながら在留資格の申請を進められます。
ポイントは、①国籍喪失届を先に済ませる、②戸籍・除籍謄本を早めに集める、③身元保証人を決めておくの3つです。
日本に戻った後、日本人として暮らしたい方は、元日本人の帰化も視野に入れておきましょう。
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※本記事は2026年11月時点の法令・制度に基づいています。

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