「死後のことを頼みたいけれど、まとまったお金を先に預けるのは不安……」
身寄りのない方から死後事務のご相談を受けると、よくこうしたお声をいただきます。
葬儀や納骨、家財の処分などにかかる費用を「預託金」として事前に預ける方式は一般的ですが、数十万円から100万円を超えることもあり、ためらわれるのは当然のことです。
実は、預託金を事前にお預かりしない方法もあります。
この記事では、その仕組みと安心して任せるために押さえておきたいポイントを解説します。
そもそも、なぜ「預託金」が必要とされるのか
死後事務委任契約では、ご本人が亡くなった後に受任者が葬儀や各種の精算を行います。
ところが、ご本人が亡くなると銀行口座は原則として凍結され、自由にお金を引き出せなくなります。
そのため、
- 葬儀社への支払い
- 病院や施設の費用の精算
- 賃貸住宅の原状回復や家財処分の費用
といった支払いに備えて、「使うお金を先に預かっておく」のが預託金の考え方です。
預託金なしが可能になる仕組み
ポイントは、公正証書遺言で、当事務所を「遺言執行者」に指定していただくことです。
遺言執行者は、遺言の内容を実現するために預貯金の解約・払戻しなど遺産を管理・処分する権限を持ちます。
つまり、
- 死後事務委任契約で「亡くなった後の手続き」をお引き受けする
- 遺言執行者として「遺産からの支払い」を行う
- すべての手続きが完了した後に、費用と報酬を遺産から精算する
という流れにすれば、生前にお金をお預けいただく必要がありません。
ご自身の財産は、最後まで手元で管理していただけます。
安心して任せるために押さえておきたい5つのポイント
ただし、この方法を確実に機能させるには、いくつか事前に決めておくべきことがあります。
遺言に「費用の精算方法」を明記する
遺言の中に、次のような内容をはっきり書いておきます。
- 死後事務委任契約にもとづく費用と報酬は、遺産から支払うこと
- 遺言執行者に、預貯金の解約・払戻しの権限があること
これにより、遺産から支払う法的な根拠が明確になり、金融機関などとの手続きもスムーズになります。
遺言と死後事務委任契約の内容をしっかり連動させることが大切です。
預金はすぐには引き出せないことを知っておく
遺言執行者であっても、金融機関での払戻し手続きには必要書類の準備や審査があり、数週間から1か月以上かかることがあります。
なお、相続人が当面の費用のために預金の一部を引き出せる「仮払い制度」がありますが、これは相続人のための制度です。相続人がいない方の場合は利用できません。
一方で、葬儀や病院の精算は亡くなった直後に必要になります。
この「時間差」をどう埋めるかが、預託金なしで進めるうえでの最大のポイントです。
「すぐに使えるお金」を用意しておく
時間差への備えとして、次のような方法を組み合わせます。
- 葬儀社との生前契約:葬儀の内容と費用をあらかじめ決めておき、支払い方法も確認しておく
- 手元資金の確保:当面の支払いに充てられる現金の保管場所や金額を、事前に共有しておく
- 立替えの範囲を決める:事務所が一時的に立て替える場合の上限額を、契約時に取り決めておく
「亡くなった直後に何にいくら必要か」をご一緒に洗い出しておけば、慌てることはありません。
財産が足りなくなる可能性も考えておく
長い老後の間に、医療費や介護施設の費用で預貯金が大きく減ることもあります。死後事務の費用を遺産から精算する以上、最後にどれくらいの財産が残りそうかを定期的に確認しておくことが大切です。
見守り契約や財産管理契約を併せて結んでいれば、状況の変化に応じて「葬儀の内容を見直す」「一部だけ預託に切り替える」といった調整を早めにご相談できます。
遺言を書き直すときは、必ずご相談を
遺言はいつでも書き直すことができます。
ただし、新しい遺言で遺言執行者を別の方に変更すると死後事務の費用を遺産から精算する仕組みが働かなくなるおそれがあります。
遺言の見直しを考えたときは、死後事務委任契約とセットで内容を整理し直すことをおすすめします。
預託金をお預かりする場合は「分けて管理」が原則
遺言執行者を別の方に指定されたい場合や、遺言を作成されない場合などは、死後事務にかかる費用を事前にお預かりすることになります。
その場合でも、
- 預託金は事務所の財産とは明確に分けて管理する
- 金額の内訳と、使い道・精算方法を契約書に明記する
- 残金は、遺言や契約の定めにしたがって確実に引き継ぐ
といった点を徹底します。国が2024年に策定した「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」でも、預託金の適切な管理が求められています。
大切なのは「最後まで信頼できる仕組み」
死後事務は、ご本人がその結果を確認できない手続きです。
だからこそ、
- お金の流れが明確であること
- 契約と遺言がきちんと連動していること
- 途中で状況が変わっても見直せること
が、何より大切だと考えています。
預託金を預けるか、遺言と組み合わせて後払いにするか。
どちらが合っているかは、財産の状況や、どなたに何を託したいかによって変わります。
まずは、お気軽にご相談ください
「先にお金を預けるのが不安」「自分の場合はどちらが向いているか知りたい」――そんな段階でも大丈夫です。
先ずはご希望とご不安をゆっくりお聞かせください。
ご相談はこちらから! ⇒ 大阪市北区の行政書士Office KAIに問い合わせてみる!


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