人口減少・少子高齢化が進行する日本。
働き盛りの若年層が少なく、労働者不足が顕著です。
街を見渡すと飲食店を中心に外国人が働いている姿をよく見かけます。
日本は外国人の助けがなければ経済活動が回らない状況に陥っているのです。
飲食店などを経営している方で、人手不足を解消する為に外国人の力を借りたい!と思っている人も多いはずです。
ですが、外国人を就労させるには業務内容に合致した在留資格(≒VISA)が必要となります。
ここでは、業務内容と在留資格の関係性について解説していきたいと思います。
飲食店で雇用する外国人の在留資格と業務内容の関連性について
日本国籍を有していない外国人が日本で中長期在留するには、在留資格を申請する必要があります。
在留資格は大きく2つに層別されます。
身分系と言われる在留資格と就労系と言われる在留資格です。
身分系の在留資格は居住系の在留資格、就労系の在留資格は活動系の在留資格と呼ばれていたりもします。
身分系の在留資格は「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者」「定住者」などがあり、これらの在留資格を持っている人は就労の制限なく働くことができます。
ですので、身分系の在留資格を持った外国人を採用できればどんな仕事をお願いしても問題がありません。
(もちろん、法的に問題な仕事は止めましょう。)
一方で、就労系の在留資格の場合は活動が制限されています。
その為、各在留資格によって可能な業務内容が決まってきます。
簡単に表にまとめてみたいと思います。
| 厨房 | ホール | 店舗管理 | 店舗経営 | |
| キッチン内での仕込み、調理、盛付etc | オーダー、配膳、片付け、会計etc | 予算管理、従業員管理、在庫管理、予約管理、衛生管理etc | 経営分析や管理、各種契約etc | |
| 経営・管理 | × | × | 〇 | 〇 |
| 技術・人文知識・国際業務 | × | × | △ | 〇 |
| 特定技能1号 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 特定技能2号 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 特定活動告示46号 | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
| 技能 | 〇 | × | × | × |
このように在留資格によって可能な業務内容は決められています。
「技術・人文知識・国際業務」での店舗管理が△となっているのは店舗数・大きさ・具体的な業務内容や外国人のキャリアによって総合的に決められるからです。
「特定活動告示46号」で厨房が△になっているのは、「特定活動告示46号」は日本の大学を卒業して日本語検定N1合格などの日本語力を活用して活動する在留資格となっているので、厨房内で黙々と作業する業務は認められません。
また、この表には入れていませんが「資格外活動」の許可を得ている外国人をアルバイトとして採用することができます。
他の在留資格で日本に滞在している人が資格外活動の許可を得ることによって、アルバイトなどを行えるようになるのです。
例えば、「留学」や「家族滞在」の在留資格で活動している人が「資格外活動」の許可を得ればアルバイトができるようになります。
資格外活動の許可を得ている外国人であれば、厨房やホールスタッフとして採用が可能なのです。
ただし、1日4時間・週28時間などの制限があります。
この制限は他で掛け持ちでアルバイトをしている場合は合算となりますので、資格外活動でアルバイトを雇う場合はコミュニケーションを取ってしっかりと確認する必要があります。
(「留学」の場合で、学校が長期休暇中は1日8時間・週40時間まで可能。)
このように、飲食店の店舗では在留資格と業務内容の関係性が決められています。
飲食店に限らず、どこの職場でも同様となりますので、外国人に行わせたい業務とそれが可能な在留資格なのかをしっかりと確認する事が重要となってきます。
偽装技人国・なんちゃって技人国に要注意!
在留資格と異なる業務を行わせるケースとして多いのが、「技術・人文知識・国際業務」です。
名称が長いので「技人国」と略されることが多いですが、大学卒業などが必要となるホワイトカラーの仕事を行わなければならない在留資格です。
その為、厨房やホールなどの単純作業を行わせることが多いのです。
ですが、店舗によっては「技人国」の在留資格を持った人が厨房やホールで働いている事があります。
「偽装技人国」や「なんちゃって技人国」と呼ばれていますが、これは資格外活動となってしまいます。
外国人は不法就労となり退去強制処分と成ってしまうかもしれませんし、雇用した企業も不法就労助長罪となり罰せられる可能性があるのです。
双方にとって良くない結果となってしまいます。
「偽装技人国」や「なんちゃって技人国」が発生するケースとして、転職が挙げられます。
技人国の場合は転職しても在留資格変更許可申請を行う必要はなく、そのままの在留資格でいられるのです。
また、雇用する側も厨房やホールスタッフを採用するには「特定技能」の在留資格を持った人を採用しなければならないのですが、登録支援機関の契約が面倒と考え、技人国の外国人に資格外の活動を行わせてしまう事があるようです。
技人国の転職は在留資格変更許可申請の必要がないとはいえ、「所属機関等に関する届出」をしなくてはなりません。
また、就労資格確認申請をして、転職先での活動内容が技人国の在留資格で問題ないかを確認しておくべきです。
こうした事をしておかないと更新時に時間が掛かったり、更新時に実は資格外活動を行っていたことが発覚してマイナスの事態に陥ってしまうのです。
雇用側も「特定技能」の外国人を採用するのが大変だと思ったのならば、「偽装技人国」や「なんちゃって技人国」を採用するのではなく、「留学」や「家族滞在」で日本にいる外国人で資格外活動許可を得ている人をアルバイトで採用する事を検討すべきなのです。
在留資格と活動内容の関係性が難しいと思ったのならば・・・
日本の入管法で規定されている在留資格制度はとても難しいです。
一つの飲食店を見ても、業務内容と在留資格の該当性を確認しなければならないのです。
こうした点に頭や時間を取られていたら、実業務に集中できないと思います。
逆に言えば、弁護士や行政書士などの専門家に任せておけば、その分だけ業務効率が上がるはずです。
時間やお金のバランスを考えて、在留資格制度で悩んだのであれば、専門家に相談してみることをお勧めします。
ご質問やご相談はこちらから! ⇒ 出入国在留管理庁届出済行政書士Office KAIに問い合わせてみる!


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