フィリピンパブ嬢の社会学・経済学(著者:中島弘象氏)を読んだ講評レビュー!ダイバーシティな時代で外国人へのサポートの必要性は?

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行政書士会には様々な研究会があり、各々の分野で情報を交換したりして研鑽を積んでいます。

私は国際研究会に属しているのですが、とある研修でとある先生が「フィリピン嬢の社会学」が面白いよ!と推奨されていたので購入してみました。

ネットで購入したところ、誤って続編の「フィリピン嬢の経済学」が届いたので、改めて社会学も購入して2冊を読了しました。

 

フィリピンパブ嬢の社会学を読んだ講評レビュー

「フィリピンパブ」は日本各地の至る所に点在していると思うのですが、そこで働いているフィリピンパブ嬢はどのような在留資格で活動しているのだろう?と行政書士の間でも話題になる事があります。

現在の入管法に沿って考えれば、永住者や定住者、日本人の配偶者等や永住者の配偶者等の身分系の在留資格でないと働けないはずです。

このような身分系の在留資格の場合、就労に制限がないので、フィリピンパブでも就労可能です。

ですが、日本で働くフィリピンパブ嬢が何人いるのだろう?と考えると疑問となります。

フィリピン女性が日本で働くようになった理由や、その在留資格の歴史などが著者と最終的に結婚するフィリピン嬢のノンフィクションにより展開されていて、入管法の一端を学びながらその恋愛ストーリー(!?)も楽しめる展開となっています。

全てをお話するとネタバレになってしまいますが、皆さんご想像の通りに偽造結婚や偽造パスポートといった話が出てきます。

違法性のある上陸をして、後に日本人と合法的に恋愛結婚していくのですが、現在の入管法では成り立たないスキームだなと感じます。

特に東南アジアの女性と日本人が結婚して、日本人の配偶者等の在留資格を得るのは大変厳しくなっています。

恋愛期間が短かったり、年齢差が大きいと偽造結婚を疑われる傾向にあるからです。

もちろん、本当に恋愛をして結婚をするのであれば成り立たせなければならないのですが、その為には写真や通話(メッセージ記録)など多くの証拠を提出する必要があります。

精神的・肉体的なつながりや生活実態を客観的な証拠で立証しなければならないのです。

この書籍は映画化もされているので、書籍でなく映像で見たいと言う方は配信先ほどを探してみては如何かと思います。

私は映画版は見ていないので、書籍と映画でどれほどの違いがあるかなどは判断しかねます。

 

フィリピンパブ嬢の経済学を読んだ講評レビュー

「フィリピン嬢の社会学」の続編として販売されたのだが、「フィリピン嬢の経済学」です。

紆余曲折を経て、正式に日本人の配偶者等の在留資格を持って日本で生活する事になったフィリピン嬢のストーリーです。

日本人の配偶者と言えど、本人は日本語が完璧はなく、日本の文化も全て理解できるわけではないので、苦労しながら生活し、そして子育てしていくことが書かれています。

フィリピン嬢以外にも日本とフィリピン人のハーフ、ハーフとして生まれた者のフィリピンで生活していた方などのストーリーも描かれていますが、皆さん苦労されているのが分かります。

ダイバーシティな時代となり、日本で生活する外国人も増えていますが、まだまだ行政サービスが行き届いていないと著書は嘆いていました。

行政でどこまでサービスできるのか、予算などの問題も含めて考えていかなければならないと感じます。

人口減少・少子高齢化の問題に直面する日本なので、外国人の力は必要だと感じます。

 

技能実習や特定技能には管理団体や登録支援機関があるが、その他の在留資格には?

日本の在留資格制度で比較的新しいものとして「技能実習」や「特定技能」があります。

「技能実習」は国際貢献の意味があり、外国人が日本の技術を学んで母国で貢献してもらいたいという趣旨の制度です。

「特定技能」は人手不足が深刻な分野において、外国人材を受け入れようという制度です。

技能実習と特定技能は趣旨が真反対と言えるのですが、実質的には技能実習も人手不足の穴埋めに考える経営者が多く、世界から批判を浴びて2027年に「就労就労」へと制度が変更される予定となっています。

どちらもブルーカラー的な職種が対象となっていて、日本語のレベルや文化への理解が足りないので、仕事以外のサポートとして管理団体や登録支援機関が必須となっています。

 

では、こうした在留資格以外の外国人に対するサポートは扶養なのでしょうか?

「技術・人文知識・国際」や「高度専門職」、「経営・管理」などの在留資格で滞在している人はホワイトカラー人材であり、レベルの高い外国人と見られています。

日本人の配偶者等や永住者の配偶者等等の場合、近くに日本人や日本への理解が深い人がいるので安心と思われているはずです。

ですが、この書籍に書いてある通り、やはり外国人が日本で暮らすにはそれ相応の苦労があるはずです。

「技能実習」や「特定技能」以外の外国人の方もサポートが必要と感じる場面が多々あるはずです。

私は日常会話レベルの外国語ができるのですが、私にも相談を寄せてくる在留資格を持った外国人がいたりします。

日本が好きで、日本経済に貢献してくれる彼ら外国人をサポートしていく体制があれば良いなと感じます。

もちろん、法律を守らなかったり、租税公課を無視するような外国人に対しては対処をしなければなりませんが、日本に貢献してくれる外国人に対しては温かくサポートをしていくべきではないかと思います。

行政はもちろんサポートを増やしています。

ですが、私は私で身近にいて頑張っている外国人のお役に立てるようにサポートをしていければなと改めて考えさせられた一冊でした。

 

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