介護分野の人材不足は、日本だけの問題ではない
介護分野の特定技能・技能実習は、登録支援機関や人材紹介会社にとって最も引き合いの多い分野の一つなはずです。
高齢化の進行とともに介護人材への需要は年々高まっており、質の高い人材をいかに安定的に確保できるかが、事業の競争力を左右します。
一方で、意外と知られていないのが、介護人材の不足は日本だけの課題ではないという点です。
中国もまた急速に高齢化が進んでおり、介護人材の需要は国内でも今後さらに高まっていくと見られています。
つまり、中国から日本へ介護人材を送り出す構造は、単なる「余剰人材の輸出」ではなく、両国がともに人材不足という同じ課題に向き合う中で成立している、という理解が必要です。
だからこそ、送り出し機関側にも限られた人材をどう育成し、どう配置するかという戦略性が求められています。
大卒・N3以上の人材を、計画的に育成する送り出し機関
今回紹介したいのは、介護分野に特化した、ある中国の送り出し機関です。
中国国内の複数の省にまたがり、看護・介護系の大学・専門学校20校ほどと提携し、常時60名程度の候補者を確保しているといいます。
候補者の学歴構成を見ると約7割が4年制大学卒業者であり、短期大学卒業者を含めても、いずれも看護・介護・高齢者福祉関連の専攻を修めた人材です。
この送り出し機関の特徴は、日本語教育の水準の高さにあります。
日本語検定N3レベルのカリキュラムを完全実施し、まずNAT-TESTやJ-TESTなどでN4または特定技能試験に合格させたうえで面接に進ませ、合格後も日本語教育を継続し来日までにN3を確実にクリアさせるという二段階の設計です。
多くの送り出し機関がN4程度での送り出しにとどまる中、来日時点でN3水準を確保しているという点は、現場でのコミュニケーション面での安心材料になります。
介護の専門性を持つ講師による実務訓練
日本語教育に加えて、介護技能そのものの訓練体制も充実しています。
日本の看護資格や介護福祉士資格を持ち、実際に日本の介護施設で勤務した経験を持つ専門講師が指導にあたり、130時間の初任者研修に相当する内容を実施しています。
さらに、来日までの2〜3か月間、現地の介護施設で日本式の介護技術訓練を行うという、実践重視のプログラムも組まれています。
これは、登録支援機関・人材紹介会社にとって重要な意味を持ちます。
日本語能力と介護技能の両方について、来日前の段階で一定の水準まで引き上げられた人材であれば受け入れ企業側の教育負担が軽減され、現場への定着もスムーズになりやすいためです。
実際にこの送り出し機関を通じて特定技能人材を受け入れた介護施設からは、「N3レベルでの入国なので、コミュニケーションに困らずトラブルがない」という声が上がっているといいます。
実績と継続的な人材供給の仕組み
この送り出し機関は、介護人材の派遣事業(技能実習生・特定技能者)に特化した組織で、日本国内に多くの人材を送り出した実績があります。
単発の紹介にとどまらず、複数の省にまたがる大学との提携関係や、定期的な日本語クラスの開講、帰国後のキャリアアップ保証による転籍防止といった仕組みを通じて、持続的かつ安定的な人材供給を志向している点も特徴です。
登録支援機関・人材紹介会社の立場から見れば、「今回紹介できる人数」だけでなく、「来年も、再来年も、同じ水準の人材を紹介してもらえるかどうか」という継続性が、パートナー選びの重要な判断基準になります。教育機関との提携ネットワークを持ち、候補者を常時確保している送り出し機関は、この継続性の面で優位性があると言えます。
選考プロセスの厳格さも質を支える要素
候補者の育成体制だけでなく、選考プロセスの厳格さもこの送り出し機関の特徴です。
現地面接では日本語能力や志望動機の確認にとどまらず、介護の実務適性や日本での長期就労に対する意欲までを丁寧に見極めています。
書類上のスペックだけでなく、実際に現場に出た際の対応力までを評価したうえで送り出す候補者を絞り込んでいるという点は、登録支援機関・人材紹介会社にとって、入国後のミスマッチリスクを下げる安心材料になります。
中国という送り出し国を改めて選択肢に
技能実習・特定技能の送り出し国というと、近年はベトナム・インドネシア・ミャンマー・ネパールといった国々に注目が集まりがちです。
しかし、中国は日本語教育のインフラや、看護・介護系の高等教育機関の層の厚さという点で、他の送り出し国にはない強みを持っています。
大学・専門学校で看護や介護、高齢者福祉を専攻した人材を、入学前の段階から計画的に育成できる体制が整っている送り出し機関は決して多くありません。
ただし、中国国内の人件費上昇や、国内での介護需要の高まりを踏まえると、今後、日本への送り出し数がどう推移していくかは不透明な部分もあります。
だからこそ、早い段階から実績のある送り出し機関とのパイプを持っておくことは、他の登録支援機関・人材紹介会社に先んじて質の高い人材を確保するうえで、意味のある一手になるはずです。
登録支援機関・人材紹介会社にとっての意味
介護分野における人材獲得競争は、今後さらに激化していくことが予想されます。そうした中で、「大卒」「N3以上」「介護専門講師による実務訓練済み」という条件をあらかじめクリアした人材プールにアクセスできることは、登録支援機関・人材紹介会社にとって大きなアドバンテージになり得ます。
同時に、中国国内でも介護人材の需要が高まっていくことを踏まえると、こうした質の高い人材を日本に確保できる期間には限りがあるかもしれません。
早い段階から信頼できる送り出し機関との関係を築いておくことが、中長期的な人材確保戦略において重要になってくるでしょう。
介護分野で新たな送り出し国パートナーを検討している登録支援機関・人材紹介会社の担当者にとって、大卒・N3以上の人材を計画的に育成する中国の送り出し機関という選択肢は、検討に値する候補の一つだと言えるのではないでしょうか。
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