専門学校で留学生の進路指導に携わる先生方から、こんな声をよく伺います。
「推薦書を書いてほしいと言われても、正直どこまで踏み込んでいいのか分からない」「卒業後まで面倒を見きれない」――これは決して先生方の熱意が足りないからではなく、制度と学校運営の構造上、そうならざるを得ない事情があります。
この記事では、留学生向けに公開してきた一連の記事(なぜ推薦書の発行に学校が慎重にならざるを得ないか)をあらためて学校側の視点から整理し、その先にある「学校が果たせる役割」について考えます。
推薦書の発行に慎重にならざるを得ない構造
特定活動(継続就職活動)ビザの推薦状発行には、面談による就職活動実績の確認、在学中の出席率・成績の確認など、決して軽くない事務負担が伴います。
しかも一度発行して終わりではなく、更新の際にも同様の手続きが必要になることが多く、卒業後の学生一人ひとりに継続的な工数を割くことになります。
加えて、卒業時点で就職が決まっていない学生が多いことは学校の対外的な実績・評判に直結する数字でもあります。
在校生の指導で手一杯の時期に、卒業生のフォロー体制まで手厚く整えられる学校ばかりではないというのが実情です。
これは特定の学校の問題ではなく、多くの専門学校が共通して抱える構造的な課題だと感じています。
「指導が手薄になること」自体が、実はリスクになっている
ここで一度、視点を変えてみたいのです。
推薦書を出す・出さないという判断以前に、在学中の進路指導が手薄になることそのものが、学校側にとってもリスクになっているという側面があります。
- 3月に相談が集中する:早期の指導がないまま卒業時期を迎えると、就職未決定の学生からの相談が3月に集中します。この時期に打てる手段は限られており、学校側の対応もその場しのぎにならざるを得ません
- 在留資格が切れるリスク:適切な進路指導・在留資格の手続きが行われないまま卒業を迎えた学生が、結果的に在留資格を失ってしまうケースも考えられます。学校側には、就職活動を続けない学生に対する帰国指導を行う役割も求められており、指導が行き届かないことは、この点でも学校側の負担を増やします
- 評判への影響:「あの学校は留学生の進路指導が手薄だ」という評判は、口コミやSNSを通じて、次年度以降の留学生募集にも影響しかねません
つまり、進路指導を後回しにすることは目先の事務負担を減らしているように見えて、実際には3月に負担が集中し、かつリスクの大きい形で跳ね返ってきている可能性があります。
「推薦書を出す/出さない」ではなく、「早期指導でリスクを減らす」という発想へ
ここで提案したいのは、推薦書の発行可否という個別対応の話ではなく、在学中の早い段階から進路指導を組み込むことで、そもそも推薦書に頼らざるを得ない状況を減らすという視点です。
私たちがこれまで学生向けに発信してきた内容(就職活動と在留資格変更の逆算スケジュール、技人国と特定技能の違い、企業選びの視点など)は、いずれも「早く知っていれば防げた」問題ばかりです。
これらを学校側のカリキュラムや進路指導の一部として組み込むことができれば、卒業間際になって推薦書に頼らざるを得ない学生の数そのものを減らせる可能性があるのです。
次回の記事では、この「早期指導」を学校の運営に無理なく組み込むための、具体的な進路指導カレンダーと実務フローについてご紹介します。
まとめ
推薦書を書きたがらない学校が悪い、という単純な話ではありません。
むしろ、限られたリソースの中で最善を尽くそうとされている先生方が多いことも承知しています。
だからこそ、卒業間際の対応に追われる構造そのものを在学中の早期指導によって変えていくことが、学校・学生双方にとって現実的な解決策になるのではないかと考えています。
※本記事は、専門学校での留学生の進路指導に携わる教職員の方を対象に、行政書士業務の実務経験に基づいて執筆しています。個別の学校運営に関するご相談は、専門家にお問い合わせください。
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