前回の記事で、技人国と特定技能の違いを比較しました。
今回は専門学校留学生の卒業者が技人国を目指す際に、実際につまずきやすいポイントを掘り下げます。
結論から言うと、専門学校卒は大卒に比べて審査のハードルが一段階高いのが実情です。
同じ「技人国」というビザでも、卒業した学校の種類によって扱いが変わることを、多くの留学生は知りません。
専門学校卒には「相当程度の関連性」が求められる
技人国ビザの審査では、学んだ専攻内容と就職先での業務内容の関連性が問われます。
大学卒業者の場合、この関連性の判断は比較的柔軟に行われますが、専修学校(専門学校)卒業者の場合は、原則として「相当程度の関連性」が必要とされてきました。
つまり、大卒者であれば許容される業種・業務の幅が、専門学校卒だと狭くなる、という構造上の差が以前から存在していたのです。
たとえば、次のようなケースで審査が厳しくなる傾向があります。
- ゲーム制作を専攻したが、就職先の業務内容が経理などの事務中心である
- CAD制作を先行したが、実際には工程管理を行う
- IT系を専攻したが、実際の業務がカスタマーサポートのみで専門的な技術要素が薄い
こうしたケースでは、就職先が決まっていても在留資格変更許可申請の段階で追加書類の提出を求められたり、最悪の場合は不許可になったりすることがあります。
2024年からの変化:「認定校」であれば大卒同様に柔軟化
この状況は2023年6月に始まった「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」という文部科学大臣認定の制度によって、一部変わってきています。
この認定を受けた専修学校専門課程の学科(認定は学校単位ではなく学科単位)を修了した留学生については、技人国への在留資格変更時の専攻と業務の関連性が大学卒業者と同様に柔軟に判断されることになりました。
初年度(令和5年度)には187校の学科が認定されています。
| 認定校(認定学科)の卒業生 | 非認定校の卒業生 | |
|---|---|---|
| 専攻と業務の関連性審査 | 大学卒業者と同様に柔軟に判断される | 「相当程度の関連性」が原則として必要 |
| 就ける業種・業務の幅 | 比較的広い | 専攻内容に近い業務に限定されやすい |
| 高度専門職への道 | 高度専門士取得者は大学卒業者と同等に扱われる場合がある | 個別の実績・評価次第 |
ただし、注意点として認定はあくまで「学科単位」です。
同じ学校の中でも、認定を受けている学科と受けていない学科が混在している場合があります。
「自分の学校が認定校だから大丈夫」ではなく、「自分の学科が認定を受けているか」を確認する必要があります。
今、あなたができること
自分の学科が認定を受けているか確認する
文部科学省が認定校・認定学科の一覧を公表しています。
まずは自分の在籍する学科が対象に含まれているかを確認しましょう。
学校の事務局や進路指導の担当者に聞いてみるのも一つの方法です。
認定を受けていない場合は、業務内容の関連性を自分で説明できるようにする
認定を受けていない学科の場合、就職活動の段階から「なぜこの専攻でこの職務を志望するのか」を、自分の言葉で明確に説明できるようにしておく必要があります。
原則的に、自分が学んできた専攻科目と関連性のない職種で働くことはできません。
履修科目の一覧やシラバス、授業で作成した成果物(ポートフォリオなど)をいつでも提示できるようまとめておくと、企業選びの段階でも、その後の申請準備の段階でも役立ちます。
企業選びの段階で、業務内容を具体的に確認する
「同じ会社の同じ職種名」でも、実際の業務内容は会社によって異なります。
面接や説明会の場で、入社後に具体的にどのような業務を担当するのかをできるだけ詳しく確認しておくことをおすすめします。
「一般事務」という名前でも、専攻内容と関連づけられる業務が含まれているかどうかで、審査の通りやすさが変わってきます。
まとめ
専門学校卒だからといって技人国が取れないわけではありません。
ただし、大卒者よりも一段階ハードルが高いという構造を知らずに就職活動を進めると、内定が出た後に在留資格の壁にぶつかることがあります。
自分の学科が認定を受けているかどうかは、できるだけ早い段階(記事②でお伝えした8〜9月の業界研究の時期)で確認しておきましょう。
※本記事の内容は、出入国在留管理庁・文部科学省の公表資料および行政書士業務の実務経験に基づいています。
認定校・認定学科の情報は更新される可能性があるため、最新情報は各省庁の公表資料または専門家にご確認ください。
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