遺言を書くべき人はどんな人?
ドラマなどでも度々ネタになる遺言。
ドラマでは富裕層・資産家の跡取りを巡って問題になるケースが多いです。
実際にはどんな人が遺言を書いておくべきかと言われれば、多くの人が遺言を遺しておいた方が良いと言えます。
特に、家族の大黒柱となる存在である方!
それほど資産がないと思っていて遺言は必要ないと感じる人もたくさんいますが、遺された家族にしてみれば大金と感じる事が多いです。
お金は人の性格を変えてしまう事がありますので、自分の死後に家族が揉めるのを防ぎたければ、自らの意思で財産分与の方法を遺言で遺しておくべきと言えます。
家族の大黒柱として、最後の大仕事と言えるでしょう。
家族仲が良いと考えているケースでも同じです。
家族仲が良いので相続で揉める事はないだろうと高を括っていた結果、スムーズに相続が行われずに、家族仲が疎遠になってしまう事もあったりします。
家族仲が良いのは、大黒柱であるあなたが生きていたから成り立っているのであって、大黒柱がいなくなってしまったら家族仲が崩壊してしまうかもしれません。
自分の死後も家族が仲良く過ごしてもらいたいのであれば、揉める要因を消しておかなければなりません。
その為の家族への手紙とも言えるのが遺言です。
タイトルとは関係なく、一般的な人や家族について書いてきましたが、そうした環境であっても遺言は遺しておくべきなのです。
なので、再婚していて前妻にお子さんがいるのであれば、遺言を書いておかないと泥沼の相続となりかねません。
是非、遺言を書いて、自分も家族もスッキリ楽しい人生を送れるようにしていきましょう!
再婚して前妻に子どもがいる時の相続人は?
再婚していて、前妻の間にも子供がいた場合、誰が相続人になるのでしょうか?
例えば、以下の図のようなケースを例に考えてみたいと思います。
前妻との間にも現在の妻との間にも子どもが2人ずついたとします。
この場合の法定相続分はどのようになるのでしょうか?
・・・
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・・・
答えは以下のようになります。
前妻には相続権がないのですが、前妻との間にできた子供には相続権が生じます。
法定相続分はどうなるかと言えば、現在の妻が1/2で、残りの1/2は子どもで分け合う事になります。
つまりは前妻と現在の妻の間に計4人のお子さんがいるので、各々の法定相続分は1/8となるのです。
(前妻・現在の妻に連れ子がいたとしても相続権はありません。
相続権があるのは、あくまで実子です。
連れ子に相続権を与えたければ、養子縁組が必須となります。)
再婚して前妻に子どもがいる時に、遺言が無かった場合は揉める確率が高い!
問題はここからです。
前妻との間にお子さんがいて、遺言が無かった場合はどうなるでしょうか?
相続人の話し合いによって遺産分割協議が行われる事になります。
もし、前妻との間に子どもがいる事を現在の妻との間にできた子どもが知らなかったらどうなるでしょうか?
各々の子どもが遺産分割協議を行う際に顔を合わせる事になるのです。
想像する事もなく分かると思いますが、スムーズに話し合いが行えるとは思えません。
まず揉める事でしょう。
前妻との間に子どもがいる事がバレずに相続してくれないかな?と考える人もいるかもしれませんが、遺産分割協議を行う前に、先ず相続人調査が行われます。
相続人調査は戸籍を取り寄せて行うので、隠す事はできません。
また、仮に認知していないようなお子さんがいた時は、気付かれるまでは良いのですが、気付かれた際には「死後認知」の手続きが行われ、相続人がいきなり登場する事になるので益々揉めてしまうかもしれません。
今更、認知なんかできない!と悩んでしまうかもしれませんが、遺言に隠し子がいた事を記しておいて認知するやり方もあります。
「遺言認知」と呼ばれる方法で、遺言によって自分の死後に隠し子を認知させる事になります。
隠し子や認知と話がやや逸れましたが、前妻との間に子どもがいると、相続で揉めてしまいます。
遺された遺族が争い事を起こさないようにする為に、ご自身の意思で相続割合を決めておけば良いのです。
今の妻との間に出来た子どもに多く財産を分け与えたい、前妻との間にできた子どもに多く財産を分け与えたいなどお考えは様々ですが、それをしっかりと意思表示させておくのが遺言になります。
(相続人は最低限受け取れる相続分を主張できる権利は持っています。
これを「遺留分」と言い、先ほどの例では法定相続分の1/2が遺留分として主張できるので、現在の妻が1/4、子どもは各々1/16の遺留分を主張できます。)
遺言作成の流れを解説!
遺言を書いておく事により、自分が亡くなった後に家族が揉めるのではないかというモヤモヤが解消されます。
遺言を遺しておくかどうか迷う人が多いのですが、遺言を遺す事により、自分の人生を振り返り、現状の財産整理ができ、そして、家族の将来も明るくなります。
遺言を書かないでいるとモヤモヤが消えないですが、遺言を書く事によって達成感や爽快感が生まれ、残りの人生をより楽しめるようになったと感じる人が多いです。
こうした感情的な側面からも遺言を遺しておく事をお勧めしたいのです。
とは言え、法的に認められない遺言を書いても意味がありません。
遺言を書く事は手段であり、目的は遺言の内容通りにスムーズに相続が行われる事にあります。
そのサポートを行政書士としてお手伝いさせていただきます。
遺言を書く前に、先ずは相続人調査が必要となります。
誰が自分の相続人になるのかを把握して、遺産をどのように分けるかを考える必要があるのです。
そして、隠し子がいれば遺言認知も検討しなければなりません。
もちろん、法定相続人以外に財産分与をしても問題ないのですが、例えば愛人に全ての資産を渡すと言った内容だと、公序良俗に反するので無効な遺言となる可能性がとても高いです。
相続人が把握できたら、次に行うのは財産整理です。
自分がどれほどの資産があるのか分からなければ、財産分与は考えられません。
現金以外に不動産や自動車、絵画や時計など整理してみましょう。
ここまで来たら、遺言にまとめていく事になります。
遺言には大きく2種類のやり方があります。
ドラマなどでよく見る、亡くなった後に誰かが自宅から見つけるのは「自筆証書遺言」と呼ばれるやり方です。
ドラマでよく見るので自筆証書遺言が一般的なやり方と思う人もいたりするのですが、「自筆証書遺言」は自分でこっそり書いて、どこかに隠しておけば良いので確かに簡便です。
ですが、その内容が法的要件を満たしているか、死後に誰かが見つけてくれるのかと言った問題点があるのです。
誰かが見つけてくれた後も、その内容に従って財産分与を進めていけば良いかと言えばそんな事は無く、家庭裁判所での検認が必要となってきます。
自筆証書遺言は相続人の負担も大きくなるのです。
その為、「公正証書遺言」を選択する人の方が実際には多いのです。
公正証書遺言は証人2人以上の前で、事前に作り上げておいた遺言を公証人が読み上げ、それに同意する事によって完成する制度です。
公証人役場で行われ、原本は公証役場で保存されるので、その内容は法的に認められる為に家庭裁判所での検認は必要ありません。
遺言の正本を代表相続人や行政書士などに渡しておく事で、死後スムーズに財産分与が行えるようになります。
遺言を遺しておく事は重要ですが、正しく遺す為のやり方で行わなければ意味がありません。
遺言を遺したいけど、どのようにすれば良く分からない…という方がいらっしゃれば、先ずはお気軽にご相談いただければと思います。
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